統合失調症カテゴリーの掲示板になにを感じる？

統合失調症に関する掲示板はネット上に沢山存在している。
また、統合失調症に関連する質問サイトへの書き込みも相応に見受ける。

妻が閉鎖病棟に入院している間、暗雲垂れ込める状況にひどく疲れ切っていた頃。
パソコンのモニターに浮かぶ掲示板の文字に寄り掛かるようにして自分の気持ちを整理しようとしていた。
ただ、気持ちを整理するとは言いながらも希望とか後悔とかの相反する感情が入り混じってしまうので、一体何を整理しようとしているのかもわからない心の状態ではあったと思う。
その行動は、法と院内ルールを前面に押し出す担当医に対して知らず知らずの内に募ってしまった不信感と、その担当医寄りのケースワーカーの対応にうなだれる僕が、医療保護入院により大切な家族を医療に繋げたのではなくて医療につないでしまったと感じていたことにもよる。

掲示板に散らばる、沢山の人々の心情と問題。
統合失調症は有病率1パーセント弱のありふれた病気だと言うが、そこに関わる家族の悩みは決してありふれてはいない。
掲示板の情報やネット上の優しい声掛けには一長一短があり、全てを信用するには危険な側面も確かにあるはずだ。
それでも沢山の人々が掲示板に様々な思いを書き込む。
皆……、患者の回復を望み、そのことについて主治医と納得のいくまで話したいだろう。何十錠という大量の薬を飲むことについて、一から十まで懇切丁寧な説明を受けたいだろう。そう言えば、僕も妻の薬物療法について素人なりの疑問や不安は幾つも抱えていたが当時の担当医の口癖は決まっていた。
「今の薬が効いてくるかどうかは数か月単位の経過をみてみないことにはわからない」
医師にしてみれば当然の解釈であっても家族にしてみれば恐ろしいほどの不安を背負う言葉でもあった。
効くかどうかもわからない大量の薬を飲んでいる患者を案ずる家族の気持ちは途方もなく悲痛だ。
けれども複数の他患者を受け持つ多忙な精神科医にとって、家族側の悩みや心配事は治療とはあまり関係の無い話。
そんな話ならケースワーカーへ……となったとしても、結局は病院の一職員に過ぎないケースワーカーが付かず離れずのスタンスであることは致し方ないところだ。だいいち、ケースワーカーだって忙しいのだから……。
何百床という規模の精神科病院でも、そこに勤務する精神保健福祉士や社会福祉士と言った肩書の職員は数名。患者家族とは付かず離れずのスタンスでなければ実務に支障が出るのだろうという構図は外部からでもわかる。
患者の数だけ家族が存在するのだから、治療上の疑問や家族の不安を受け止めるケースワーカーの配置はもっともっと多くても決して少なくはないはずだと考える僕の思いは、病院の健全な経営を抜きにした浅はかなものなのだろうか？
家族の失意や深い悩みを、予約もせずに受容し共感してくれるのはネット上の掲示板等だけなのかもしれない……。