統合失調症の症状への対応、抗精神病薬の副作用、精神科医との信頼関係、患者との関係性……。患者を支える家族の悩みは深く長期間に及びます。このブログは、妻の医療保護入院による夫の感情体験を書籍化後、支える家族にとっての精神疾患について、感じること考えることをテーマに更新しています。
著書 統合失調症 愛と憎しみの向こう側
患者家族の感情的混乱について書き下ろした本です(パソコン、スマートフォンなどで読むことのできる電子書籍)ブログ〝知情意〟は、この本に描いた体験を土台に更新されています
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精神障害者地域活動支援センターの裏話

妻が退院してからは、地域活動支援所や就労継続支援作業所への通所を強く検討した時期があった。
正直、そこで行われる生産活動を通じて社会参加や生活能力の向上を期待するといった表向きの目的は少なく、どちらかと言えば毎日仕事に行かなければならない僕に代わって日中の見守り的な要素を期待していたと思う。
だから、雇用契約を結んで積極的に仕事に従事する就労継続支援A型作業所などは選択候補からは大きく外れていた。
そうした前提で、居住する地域の中にある複数の施設から妻の個性や僕達の生活スタイルにできる限りマッチしたところを探し出していく作業を進めていた。
基本的には行政が母体となった支援機関に籍を置くコーディネーターが相談に乗ってくれたが、送迎の兼ね合いもあり自宅に近い施設と僕の勤務地に近い施設の両方から探し出そうとしていたので、どうしても支援機関の管轄エリアを飛び越えてしまう現象が起きてしまう。
当然、行政側のある程度の横の連携は受けられるのだが、相手に全てを頼るよりも自分で動いた方が話が早い場合も有るかもしれない。
僕は、役所からもらった事業所一覧の資料をもとに片っ端から電話をかけ、そこに通う利用者層(男女比や年齢層等)の情報を仕入れながら専門の支援員のアドバイスを聞き、実際に数か所への見学も行いながらというスタイルで何処の事業所に世話になるのかを検討していた。

役所からもらった事業所一覧には各カテゴリーに整理された沢山の事業所名が列挙されていたが、自分達の都合を中心にして絞り込んでいくと案外ピッタリと合うところは少ない。
まず、どこの施設も9時から15時位までといった時間帯で週末はお休みといった条件が横並ぶ。
そして、どこも比較的年齢層の高い男性利用者が多いといった印象……。
妻の個性や年齢、そして僕達の生活スタイルから考えると、もう少し若い世代の女性利用者が多くて開所時間が後ろにずれたような施設はないものかと思うがなかなか見当たらない。
あるようでない……
事業所探しが一段落したあとに感じたことはそれだった。

それでも、コーディネート役を果たしてくれた職員から紹介されたある事業所が、比較的条件に近いかもしれないということで、さらに詳細な情報をお願いしておくと数日後、うん? と思いもよらぬ回答がかえってきた。
「――最近、雰囲気が悪いみたいだから、ちょっと……」
それはどういうことなのだろうと思いきや、つまり男女間の問題が起こっているということが言いたいようだ。
つまり、男女間の問題が起きているので、妻を送り出す夫に対して紹介しにくいという意味が込められていた。
それなりに年齢層の高くない利用者が通う。
そして男女混合。
当たり前だが、作業所が閉所した後は皆、自由に家路につく。
そのタイミングで男女問題のトラブルが散見されるようだ。ただ、それがトラブルなのか問題と捉えるべきなのかは見方にもよりけりだが……
そして事業所の職員も、時間外での利用者間の男女問題にまで目が届かないだろうし、人としての自然な結びつきであれば介入する権限もないのだろう。
だから、そのあたりは個々のモラルに頼るしかないのだが、患者としていわゆる社会性とかモラルとかの概念が弱まっている状態で、と考えるとなかなか難しい問題なのかもしれない。

そんな時、ふと思い出したやりとりがあった。
妻の入院中に転院を考えていた頃、問い合わせをする僕と問い合わせ先の病院のケースワーカーとの会話だ。
「――当院は男女混合病棟となっていますから、性的な逸脱行為があれば即、退院してもらわなければなりません」
もっともな話ではあるが、転院に関する初回の電話相談でケースワーカーがわざわざ持ち出してくる話として受け止めると少々ゾッとする……。

病気であるということ、生身の人間であるということ。そして病状として社会性が低下するということ。二つのエピソードにはそれらが妙に重なった。



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