統合失調症の症状への対応、抗精神病薬の副作用、精神科医との信頼関係、患者との関係性……。患者を支える家族の悩みは深く長期間に及びます。このブログは、妻の医療保護入院による夫の感情体験を書籍化後、支える家族にとっての精神疾患について、感じること考えることをテーマに更新しています。
著書 統合失調症 愛と憎しみの向こう側
患者家族の感情的混乱について書き下ろした本です(パソコン、スマートフォンなどで読むことのできる電子書籍)ブログ〝知情意〟は、この本に描いた体験を土台に更新されています
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ありがとうございました

2014年から2015年へと時間が流れてゆく。
この一年。多くの方からブログへ、書籍へと、たくさんのメールをいただきました。
ありがとうございました。

年の瀬と言えば、一年をくくる慌ただしさというか安堵感というか、つまるところ、それが大衆の幸せというものであったり……。
そうして年を越せば、今度は新しい一年を迎え入れることのできる喜びというか先々への期待というか、とにかく、世の中の大部分の人々が前を向く時。
だからこそ、前を向けずに背負った問題の重みにうなだれた人々の孤立は深まるもの。
ひたむきに、ひたむきに、いや、そんなものではなく、執念に駆られたように希望を追うも報われぬ現実。

僕は知っている。
今このとき。
どこかの精神科救急で強制入院の手続きをする家族がいたりすることや、マックスの抗精神病薬が追いつかない病勢にどうにもならない患者を心配し、寝ては覚め寝ては覚めを繰り返しながら心配する家族がいたりすること。
もちろん、誰もが皆、胸を突き刺されたような悲しみに明け暮れているわけでもないだろう。

でも僕は知っている。
誰もが皆、ではないが、今このとき、ベッドにくくりつけておくしか他に手の施しようがない患者を思うと、悔しくて悲しくて、泣いて泣いて拳を固めても絶望に打ち負かされるしかない人々だっていることを……。

ブログや書籍について寄せられたメールに綴られた、その数だけの意見と思いと体験。
大部分の患者家族が医療の力を借りて希望につながったとしたら、一部の患者家族は深い絶望の中で希望のカケラをずっと探し続けているままであったりする。
大部分と一部、すべての気持ちに対して均一になにかを伝えようとしても、それはとてもむつかしいこと。
そもそもブログや書籍といった媒体は、百万人のうち数パーセントの人々の気持ちに働きかけるためのツールなのかもしれず。
だったらこのブログもそれでいいと――思った。
妻の統合失調症が寛解し単剤処方までにこぎつけた今、このブログは希望のカケラを探す者同士としての現在進行形的共感にはならない。
よく考えれば体験とはすべて過去形だ。けれど、ひとつの体験がさ迷う患者家族の心の資源になればと思う。
「ありがとう」と返してくれるメールに抱えた苦悩の重みを感じ「ありがとう」と返したい。
そして「頑張れ!大丈夫」と、心をこめてエールを贈りたいと思う。



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2 件のコメント:

  1. 岩崎さま

    今年もよろしくお願い申し上げます。

    昨年は、岩崎さんのブログに出会えたこと、私のブログを見つけて下さったこと、それがとても大きな出来事でした。
    年末には、母親の苦悩を理解して下さる記事で一年の気持ちを納め、またいつもとは違った心もちで新年を迎えました。
    私たち当事者家族の「ありがとう」・・・こんなありがとうって中々ないですよね。お互いに顔さえ知らないのに、どこまでも透き通った深い海の底まで突き抜けていくような、ありがとう。本当の本当のありがとう。

    岩崎さんご家族皆さま、良いお年になりますように。

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    1. 心のこもったコメントをありがとうございました。顔さえ知らずとも、気持ちが通じ合うことで元気をもらえることはネットの良い点です。もちろん家族会にも利点はあろうかと思いますが。

      さて、ふと思いました。
      めもりーさんから頂戴した〝ありがとう〟
      家族が患者に〝ありがとう〟と思えるなら、それはステキな関係です。
      病状があり、現実があり、問題もあります。
      けれども、時にポツリと抱く〝ありがとう〟の気持ち。
      今までも、その気持ちを抱くことで超えてきた経験もおありかと思います。
      そして、これからも……
      ――。
      良き一年でありますように……

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