統合失調症の症状への対応、抗精神病薬の副作用、精神科医との信頼関係、患者との関係性……。患者を支える家族の悩みは深く長期間に及びます。このブログは、妻の医療保護入院による夫の感情体験を書籍化後、支える家族にとっての精神疾患について、感じること考えることをテーマに更新しています。
著書 統合失調症 愛と憎しみの向こう側
患者家族の感情的混乱について書き下ろした本です(パソコン、スマートフォンなどで読むことのできる電子書籍)ブログ〝知情意〟は、この本に描いた体験を土台に更新されています
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偏見 / スティグマ それは家族の心にも深く根を張るけれど


精神疾患に関係する人々にとってのスティグマという言葉の意味付けは、平たく言うなれば疾患を持っているだけで生み出されてしまう差別や偏見となる。

例えば、事件報道等で加害者の向精神薬の服薬歴や精神科への通院歴の付記は精神病の基礎知識の伴わない読み手からすると、犯罪や事件と精神病疾患者を安易に繋げてしまう危険性を生み出し、精神的な病気を持っていれば罪を問われないのかとの短絡的思考に結びつく。それは、社会復帰に向けて地域の中で暮らす人達への無言の偏見や恐怖感を、社会が反射的に身につけさせてしまっている実態でもあるかと思う。
勿論、世の中の誰もが皆同じように精神病者への偏見や恐怖感を持ち合わせているわけではないが、世間の目というのはどちらかと言うとスティグマを生み出す構造になりがちではないだろうか。

社会人で健常者、精神病患者等への知識や理解が整理されていない人が、例えば地域活動支援施設や就労継続支援作業所、または精神科病院の敷地内などで統合失調症等の患者さんと接触する場面があったとする。
独特とも言える眼差しで見つめられた時に、自分が精神病者に対して持つ恐怖感ではなくて、精神病者が自分に抱く恐怖感を感じる人はどれほどいるだろうか?
企業の障害者雇用率算定に精神障害者を含める法改正に向けて、それにあやかるような転職エージェント企業の精神系サポート事業の強化。
労働市場に営利を追求する企業のアクションは間違ってはいないが、ガラスの心を持った精神病者が抱くスティグマの解消は大きな課題でもあるはずだ。

ところで、スティグマは患者家族が抱くものでもある。
むしろ患者以上に雑念に駆られることの多い家族の方が、必要以上のそれを感じてしまっている場合が多いのではないだろうか?

家族が精神病。
それは恥ずかしいこと? 知られたくはないこと?
勤務先や御近所には知られたくはないと身構えてしまう家族は少なくないと思う。
その背景にはスティグマによる不利益を被りたくはないといった病者である家族への愛情に裏付けされた家族感情が存在しているからだと、僕には思える。
そんな社会の目から家族を守ってやりたい。
精神病者は差別や偏見、逆に美化されるような存在でもなくてあくまでも普通の人なのだ。だからこそ、病苦を乗り越え家庭に戻り地域に復帰した患者が世の中に対して怯えることなく穏やかに暮らして欲しい……
その毎日の繰り返しの中で、寛解というひとつの目標に向けた一日一日を積み重ねて欲しいと願う患者家族は決して少なくはないはずだ。

患者は思う以上に多感で家族の心理状態に敏感に反応するものだから、僕としては精神病? そのことの何が悪い? それがどうした? その人らしく生きていけばいいじゃないかと、決して力まないスタンスでいることが患者に程よい安心感を与えるものだと考えている。

原因不明で人格崩壊する不治の病、精神分裂病。
悪く言えばそういうイメージが根強い病気が、内因性の脳の機能障害である統合失調症という病名変更がされてから十年以上が経過して、ゆっくりとしたスピードで世間の認知も変化してきたはずだ。
今後さらに精神医学や脳の研究が進む中で、地域で暮らす患者と家族の生きやすさが向上していくことを望んでいる。

追記
このブログについてのページのコメント欄に私の本を読まれた方からのメッセージを頂いています。
ひとつひとつのメッセージに返信するのかどうか迷いましたが、ここは本やブログの読者に開放してみてはどうかと思い、返信は差し控えました。想像以上に多くの方々に読んでもらえていることに深く感謝すると同時に、微力ながらでも私の手記が様々な立場の方々の抱える悩みや問題を乗り越えるヒントになればと願っています。
ありがとうございました。
岩崎春人



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